剣道をする中で、防具とともに大切な道具となる『竹刀』。竹刀にはサイズ(長さや重さ)だけでなく柄の形や太さ、重心バランス、素材など様々な種類のものがあり更に公式戦には規定もあるので、一体どんな竹刀を買ったらいいのか悩むところです。また、自分に合った竹刀と出逢えることは剣道の更なる上達にも繋がっていきます。

今回はどのような竹刀が自分に合うのか、自分の好みや剣道スタイルに合わせた竹刀選びのヒントになるよう、竹刀の基本となる種類や基本の選び方をご紹介したいと思います。

ズバリ!選び方の基本は4ステップ

何からどう選んでいけばいいかわからない・・・そんな方のために、最初に竹刀選びの基本ステップを説明します!

ズバリ!ステップは、

1.サイズを選ぶ

2.素材を選ぶ

3.柄の型を選ぶ

4.重心(バランス)を選ぶ

たったこれだけです!このステップを踏めば、大体自分に合った竹刀が見つかってくるでしょう。

ステップ1:サイズを選ぶ

竹刀には全日本剣道連盟が定めた規定があります。特に公式戦では、どんな竹刀を使っても良いというわけではなく年齢や性別によって使える長さ・重さ・太さが決まっています。逆に言えば、それさえ満たしていればあとは自分の好きな竹刀を選んで使える、ということです。まずはその基本となるサイズの規定をご説明します。

竹刀規定表

小学生以下(28~36サイズ)

小学生以下の場合は学年や年齢よりも身長に合わせて竹刀を選ぶことが多いです。(道場などの指導者によって考え方が様々なので購入前に相談してみるのもひとつです)一般的には『立った時の足(地面)から、脇と肩までの長さ※図A参照』が丁度良いとされています。身長だけでなく特に年齢が低いうちはその子その子で腕の力や握力が違いますので、身長だけで無理に決めず実際に振ってみて判断しましょう。

目安として小学校入学前まで28サイズ、小学校低学年で30~32サイズ、小学3~4年生頃に34サイズ、小学5年生の夏頃から冬頃にかけて徐々に36サイズに移行し、小学6年生には36サイズでしっかり振れるようになっているのが理想的です。

中学生(37サイズ)

中学生になると37サイズを使用します。

中学生以上からは男女で長さの規定は共通ですが重さや太さの規定に違いが出てきます。剣道具店では大抵のところが「男子用」「女子用」と表記して販売していると思いますのでそちらから選べば安心です。

高校生(38サイズ)

高校生で使用する竹刀は38サイズです。

高校生の公式戦では中学生の頃より更に厳しく竹刀検量が実施されますので、規定をしっかりチェックしてください。

大学生・一般(39サイズ)

大学生から一般まではサイズが統一され39サイズになります。

39サイズになると竹刀の種類もとても多くなり選ぶ楽しみも出てきますね。また、竹刀検量の際には規定項目だけでなく『ささくれや割れがないか』『付属品(竹刀に組んである柄・ツル・中結い等)が正しく装着されているか』などもチェックされますので普段から竹刀のお手入れはしっかりとしておきましょう。

おまけ:サイズの読み方

ちなみにここで出てくる「〇〇サイズ」などの数字表記は竹刀の長さを尺で表したものです。メーカーによって若干の長さの違いはあるものの、1尺(=約30.3㎝)・1寸(=約3.03㎝)として計算して表記されています。

指導者の方や剣道具店などで竹刀について相談したいとき、サイズの読み方に迷うことがあるかと思います。28(にっぱち)、30(さぶぜろ)、32(さぶに)、34(さぶよん)、36(さぶろく)、37(さぶなな)、38(さぶはち・さんぱち)、39(さぶく)と覚えておけば大抵伝わりますよ。

ステップ2:素材を選ぶ

竹刀の『素材』は大きく分けて4つあります。素材によって耐久性や値段だけでなく、振り心地・打ち心地が違うといわれています。

桂竹(けいちく)

一般的に出回っている竹刀に最も多い素材です。繊維が多く密度の高い硬めの竹刀です。その反面柔軟性がやや低く、長く使用していると竹が割れたりささくれが起きやすいという特徴もあります。生産数が多いので比較的安価で購入でき、練習用として選ぶ方が多いです。

真竹(またけ)

桂竹より厚く弾力性があります。打突の時のしなり具合は抜群の打ち心地です。曲げや圧力に対する抵抗力も強いので耐久性にも優れていますが値段もその分高額です。

燻竹(くんちく)

桂竹を燻製した竹刀です。燻すことで強度を高める効果があり、やや黒っぽい色合いも「かっこいい!」と好んで選ぶ方もいます。

カーボン

竹ではなくカーボン製(炭素繊維)の竹刀です。竹のように割れたりささくれることが少なく、お手入れが楽で非常に長持ちします。ただ、竹の竹刀と比べてやや重めに感じること、長持ちする分1本の値段も高価なことなども理解した上で選ぶことが大事です。

ステップ3:柄の型を選ぶ

柄の型とは、いわゆる持ち手、握りの部分の形です。手の握り心地だけでなくどのような剣道をするのかによって適した型が変わってきます。

普及型(丸型)

一般的に使われている一番スタンダードな型です。柄の形状が円形になっていて初心者でも竹刀操作がしやすいので、始めたばかりで何を選んでいいかわからないときにはまず最初にこの型から試してみることをオススメします。

小判型

柄の形状が楕円形(小判のような形)になっているタイプです。手に馴染みやすい形状で、握りこむときに横と縦がわかりやすいので握りの矯正、正しい握りを身につけたいときに最適です。

八角型

柄の形状が八角形になっていて、角が多いので手にかかりやすく操作性が高い型です。その形状がゆえに製作が難しいので、流通量が少なく割高なものが多いです。

八角小判型

流通量は少ないですが八角型に似たもので『八角小判型』というものもあります。その名の通り、八角形で尚且つ楕円状(小判の形)になっています。八角型の操作性と小判型の正しい握りやなじみやすさを併せ持ったイイトコ取りな竹刀です(笑)より流通量が少なく割高です。

柄細型

柄部分が細くなっているのが特徴の型です。手が小さい方にも握りやすいので女性にもオススメです。手元が細い分、重心が剣先にいきますので他の型よりも持った感覚はやや重く感じます。

柄太型

柄部分が太く、手が大きめの方が握っても手にフィットする型です。柄細型の逆で持ち手が太い分、重心が手元にくるので振りが軽く操作性は高いです。太い分握力が必要になるので長時間の稽古より短時間の試合向きの型です。

柄革の長さについて

これまで柄の形や太さについてお話してきましたが、柄革の長さについても拘りがあり竹刀を組むときに「柄を短めにしてください」「柄は長めがいいです」などとご指定いただくことが多いです。柄革の長さ=ツバ止めの位置=握る位置になりますので、自分の握りやすい位置に合わせるために柄革の長さを調整するということです。

  • 柄革を短めにする→握る位置が短くなるので遠間からの面や突き技など大技を得意とする方向き
  • 柄革を長めにする→握りの位置が上へいくので軽く感じるだけでなく、近い間合いでの操作がしやすく小手技、引き技など小技を効かせることに向いている

竹刀の太さなどによって限界はありますが、できる限り理想に近づけるよう調整しますので剣道具店で竹刀を組んでもらう時には気軽に店員さんに希望を言ってみてくださいね。

ステップ4:重心を選ぶ

竹刀のどのあたりに重みがあるかによって竹刀を振ったときの感覚が全く変わり、その特性を活かした剣道が可能になります。自分の剣道スタイルや得意とすることに合わせて選びましょう。

一般・普及型

最も一般的な重心が竹刀の中心にあるものです。『THE・スタンダード』な竹刀なので、初心者の方が最初に使用する竹刀は基本的にこのタイプになります。バランスに癖がないので子供から大人まで幅広い世代に使用されています。

胴張・実戦型

竹刀の柄に一番近い節部分が太く膨らんでいるのが特徴です。普及型に比べて重心が手元に近いので、竹刀が軽く感じられます。更にそれの剣先部分を細くしたものが実戦型といわれており、最も早く竹刀を振ることができるので学生の方が試合で使用することが多い種類です。スピードが求められる試合での使用にオススメです。

古刀型

節全体に比較的重さの変化がないタイプです。重心が剣先寄りとなり、操作性よりも打突の強さを大事にする方に向いています。

まずは完成品竹刀から!

初心者の方など、まだ自分の好みや剣道スタイルがわからないという場合は完成品竹刀から使用してみましょう。型や重心が標準的で癖もなく、金額的にも一番リーズナブルです。その竹刀を基準にほかのタイプの竹刀を色々と使っていくと、少しずつ自分に合う竹刀や好みの型がわかってくるはずです。

『SSPシール』とは?

竹刀に貼られている『SSP』というマークの入ったシールをみたことがあると思います。SSPとは『Shinai(竹刀)・Safety(安全)・Promotion(推進)』の3つの頭文字から付けられたもので、竹刀による事故を防止するため全日本剣道連盟の基準に合格した竹刀にはこのマークが入ったシールが貼り付けられ品質保証がされています。

試合では軽く細い竹刀が有利といわれています。しかし、『勝てる』竹刀を求めすぎると強度が低く折れやすい竹刀となります。折れた竹刀は、もはや凶器です。更にその危険性は自分だけでなく相手にも害が及びます。相手を傷つけてしまう危険性が非常に高いので、竹刀購入の際にはぜひSSPシールのついている安全性信頼度の高いものを選ぶことをオススメします。(SSPシール付きだからといって値段が高いということはないのでご安心ください!)

竹刀はネット購入より店頭購入がオススメ!

最近はネットショッピングの時代。ネットでなんでも売っているし、発送も早い!とても便利ですが、竹刀に関してはぜひお店に足を運びましょう!近くに剣道具店がないという方は仕方ないですが、有難いことに当店には観光がてら遠く離れた他県からお越しいただくお客様も非常に多くいらっしゃいます。

どうしてお店で購入した方がいいのか、それは同じ竹刀、同じ型や重心のものでも振った感覚や握った感覚が1本1本違って感じるからです!それは竹刀に使用している竹が天然の素材であるのが理由です。お店購入をオススメするもうひとつの理由として、大抵の場合、ネットよりも店頭のほうが販売している竹刀の種類が豊富だということもあります。当店でも実はネットにない種類の竹刀が店頭で販売されていたりします・・(笑)それは何故かというと、竹刀は非常に流通スピードが早く、常に沢山の種類が出回っているからです。店頭ではネットショップより早く新しいものが入れ替わり販売されます。

沢山の種類の中からお気に入りの1本をみつけるのは非常に楽しく、それも剣道の醍醐味のひとつだと思います。自分の求めるものが明確にわからない、漠然としたイメージしかない場合にも、店員さんに「こんな感じの竹刀が欲しい」「今使っている竹刀のココがちょっと・・」などと気軽に相談してみてください。店員さんも一緒にアナタのお気に入りの1本をみつけるお手伝いをしてくれるはずです!

まとめ

このように竹刀には非常に沢山の種類があり、その型や重さの絶妙なバランスが直接技に影響してきます。ただ「安いから」「憧れの人が使っていたから」という理由だけで竹刀を選ばず、自分の好みや手の大きさ、得意な技を理解し自分に合った竹刀を使うことがより良い剣道に繋がります。これを読んでくれた皆さんに素敵な竹刀との出逢いが訪れることを願っています。